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厚生省の方がこの委員会に「容器包装リサイクル法」の原案を説明しにきた時、筆者はリターナブル容器の利用促進を同法に盛り込むように要請いたしましたが、結局は問題にされませんでした。結局ワンウェイの容器ばかりが利用されるようなしくみになってしまったのです。
あらゆる容器包装が同法の対象になったとしたら、まともに再資源化ができるわけがありません。しょせん、集めて燃やされるのがオチというものです。
もちろん適正に燃やすことができ、しかも熱回収をするのであればまだよいのですが、そうした見通しもたっていません。一体どこに問題があるのでしょうか。
現在の廃棄物レジームは、今私たちが直面する廃棄物問題の根本原因に対応するようにはまだできあがっていないのです。ここに本質的な問題があると言ってよいでしょう。こうした状況のまま、「容器包装リサイクル法」を完全実施したとしても、どこかにしわ寄せが来ることは目に見えています。
もちろんすべての容器包装をリターナブルにする必要はありません。社会には、ガラスのリターナブルびんは持てないお年寄りや身体の不自由な方が少なからずいます。
また地域によっては、リターナブル容器を保管するストックヤードがないような所があります。また、包装用紙をリターナブルにするということもコストばかりかかり、かえって多くのエネルギーを使うことにもなりかねません。
しかし一定の比率の容器はリターナブルで、あってよいはずです。洗浄コストなどを考えても、社会的なコストはワンウェイのガラス容器やペット容器より安くつきます。
廃棄物とリサイクルの基本は大方そうですが、回収と物流を効率的に行うことが求められます。流通逆流通のインフラを整備し、回収の動機付けの仕掛けを組み込めば、容器包装の効率的な利用が可能になります。
このよいお手本はビールびんです。ある推計によれば、ビールびんは年間3回流通し、長い場合8年まで使えるということです。
つまりビールメーカーと消費者の聞を計24回行ったり来たりしているわけです。これは逆流通システム、デポジット制度、容器の規格化ができているから可能になるのです。
パッチワークから包括的なレジームヘ。こうしてビールびんのようなデポジット制度は、逆流通インフラの整備と相伴って、容器の再利用を容易にします。
ワンウェイ容器は、廃棄のコストを増加させますが、この費用は税金でまかなわれているために消費者に費用として感じられなくなっています。ましてや生産者には、廃棄の費用はほとんど伝わりません。
これでは、容器包装がごみとなることを抑制するメカニズムがないのも当然と言えるでしょう。そしてもうひとつ問題なことは、ごみの発生・排出抑制が経済全体のレジームのなかに徹底して組み込まれていないということです。
最終的に処分される廃棄物を少なくし、かつリサイクルを進めるためには、個別品目の対応では限界があります。「廃棄物処理法」を中心とした廃棄物レジームの中心概念は、基本的に排出されたものをすみやかに処理するといったものです。
もとからごみを排出しない、排出したとしても、なるべく生産の上流部分で再資源化するといった仕掛けはどこにも組み込まれていません。基本的な発生・排出抑制を行うためには、経済全体のメカニズムをそうした方向に誘導する必要があります。
ある段階では個々別々のリサイクル法もよいのですが、一定の段階に経済が達したら、経済全体で廃棄物の発生・排出抑制を行うようなレジームを形成しなければなりません。ドイツの「循環・経済廃棄物法」を見てみましょう。
日本とおなじように高度な経済をもっドイツに、廃棄物削減と再資源化のための包括的な法律ができたのです。この法律を作る当時「廃棄物」という言葉を使わないということが真剣に議論されたほど、廃棄物の発生・排出抑制が徹底的に組み込まれました。
1998年、筆者は旧東ドイツのイーレンベルクという町の最終処分場を訪れる機会をもちました。驚くべきことに、家庭系の最終処分廃棄物は急激に減少しているのです。
これも包括的な廃棄物の発生・排出抑制のメカニズムが経済に組み込まれたからなのです。日本では、「リサイクル法」「容器包装リサイクル法」「家電リサイクル法」が成立し、新たに「建設廃棄物リサイクル法」が考えられています。
厚生省は廃棄物の発生・排出抑制のための新法も考えているそうです。こうした法律の体系はそれなりに一貫してはいるのですが、経済のメカニズムのなかで考えた時全体的な整合性、包括性があるとは言えません。
こうした法律体系を基本としながら、経済のメカニズムの中で廃棄物の発生・排出抑制が効率的に行われるような廃棄物の包括的レジームの形成を考えるべき時が来ているように思われます。このように書くと、経済の発展は抑制されるような気がするかもしれません。
適正処理・再資源化のコストは増加すると考える向きもあるようです。しかし本当にそうでしょうか。
適正処理・再資源化を徹底的に行うと、社会的な費用は削減され、これまで、になかった方面での支出が可能になります。それにもまして、静脈経済に新たなる市場が創出されます。
これまで市場の創出や需要の増加と言うと、ほとんどが動脈経済に関わるものばかりでした。しかし動脈経済の波及効果は現在ではそれほど大きくないということがわかってきました。
市場が飽和していることもひとつの大きな理由でしょう。それにひきかえ静脈経済では、まだまだ市場は未成熟です。
包括的な廃棄物レジームを形成することによって、これまで、市場がなかったところに市場ができれば、需要創出の波及効果はこれまでになく大きなものになる可能性があります。マクロ経済的に見て、環境効率性の追求は経済の効率性の追求と調和することが予想されます。
ミクロ的にもおなじようなことが言えるのではないでしょうか。ものを使い回して廃棄物を少なくする企業は、コスト削減を達成できる可能性があります。
実際世界のビジネス・リーダーたちは「エコ・エフイシェンシー」の標語のもとに、環境保全と経済発展を両立させようとしています。こうした先進的な意気込みをもった企業を支援するためには、フリーライダー(ただ乗りする人)に市場から去ってもらわなければなりません。
そうしたことを保証するためにも、包括的な廃棄物レジームが必要なのです。日本型の循環経済廃棄物法の成立が望まれます。
日本にデホジッ卜制度を導入するにはデポジット制度の問題点と解決方法もちろんデポジット制度には問題点もあります。これまで指摘されている問題は次のようなものですが、これらは制度の工夫などでいずれも解決できるものです。
置デポジツト制度ではワンウェイ容器の減量につながらないワンウェイ容器にデポジットをかけても、ワンウェイ容器が大量に回収されるだけで、容器自体の製造を抑制できないという問題です。[解決策]たしかにデポジット制度だけではワンウェイ容器の減量にはすぐにはつながりません。
ワンウェイ容器のデポジットはまず散乱ごみをなくすことが第一の目的です。ワンウェイ容器を抑制するには、デポジット制度で大量に回収されたワンウェイ容器を再資源化するためのコストを事業者に義務付けたり(現在の容器包装リサイクル法では不十分です)、ワンウェイ容器の比率を一定限度に押さえたり(ドイツで実施しています)、あるいはワンウェイ容器自体の価格に回収処理費用を上乗せするなどの方法を採用することが必要でしょう。
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